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子育て世代が移住する前に知っておきたいメリット・デメリット

最近、「教育移住」「育児移住」という言葉を耳にしませんか?地方に移住して子育てをすることが注目を浴びています。

 

この記事では、子育てのために移住することのメリット、デメリットについて詳しく解説していきます。

 

地方移住にご興味のある方も、今すぐには移住を検討していない方も、比較材料がたくさんあることで、今後の生活・子育ての選択肢が広がるでしょう。ぜひご参考ください。

子育てのための移住が増加している背景

「子どもは自然豊かな環境でのびのびと育てたい」「人間関係で悩みがあるので、心機一転、環境を変えて再出発したい」「子どもが病気がちなので、空気のきれいなところで暮らしたい」など、さまざまな理由で子どものために地方に移住する人が増えています。

 

子育てのための移住が増えた理由のひとつとして、テレワークの増加が挙げられます。

 

テレワークは環境さえ整っていれば働く場所を選ばないため、どこにいても仕事ができます。そのため、今までは「できるものならば移住したいけれど、通勤が難しい」と諦められていた子育てのための地方移住が、現実的なものとして検討されるようになったのです。

 

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子育てのための移住を検討する際のポイント

では、子育てのために移住を検討する場合、どのような点をみていけばよいのでしょうか。ここでは2つのポイントをご紹介します。

子どもにとって良い環境か

子育てのための地方移住ですから、子どもにとって良い環境かどうかが最優先事項です。

 

何をもって「良い環境」とするかどうかは、人それぞれですので、住環境に求めるものをはっきりさせておく必要があります。

 

例えば、豊かな自然や、地域の人との密な交流などは、地方移住で手に入れられる可能性が高いでしょう。

 

一方で、文化的なものに日常的に触れる、進学校に進学させてしっかり勉強させる、となると、地方では叶わないおそれもあります。地方には、映画館がない街や書店がない街も存在します。習い事も都心では習えたものが、地方では先生がいないこともあるかもしれません。

移住先で暮らすイメージができるか

移住先で暮らすイメージができるかどうかも重要なポイントです。「そんなの、暮らしてみなければわからないよ!」という人もいるでしょうが、イメージができないということは、何もかもが想定外であるおそれもあります。

 

人間関係が密である、地域の行事にきちんと参加することが求められるなど、都市部ではあまり必要でなくても、地方での生活では必要になることもあります。なるべく他人と関わりたくないと思っている人が、「自然が豊かで子どもの成長によさそう」というだけで地方移住してしまうと、疲弊してしまうかもしれません。

 

このように、移住先で暮らすイメージができるかどうかは重要なポイントになります。

子育てのために移住するメリット

子育てのために移住すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下、4つのメリットをご紹介します。

メリット①多くの自治体が手厚い子育て支援を実施している

1つ目は、手厚い子育て支援を受けられることです。

 

例えば、大分県豊後高田市では、第1子から子どもの誕生祝い手当が出ますし、認可保育園の保育料と市内公立幼稚園の授業料が子どもの年齢や世帯所得に関係なく全て無料です。

 

茨城県境町では、第3子以降の出産祝い金の他、育児用品購入クーポン贈呈、給食費補助などが受けられます。

 

このように、地方移住を積極的に受け入れている自治体は、子育て支援が手厚いところも多いので、興味を持っている自治体があれば、調べてみても良いでしょう。

メリット②自然に囲まれた環境で子育てできる

2つ目は、自然に囲まれた環境で子育てできることです。

 

わざわざ長時間かけて移動せずとも、少し車を走らせれば、海や山、川などがあり、自然の中でのアクティビティを楽しむことができます。これは、地方ならではのメリットです。また、空気や水が美味しく、直売所で新鮮な肉や魚、野菜を購入できるところも多いので、食育にもいいかもしれません。

メリット③待機児童が少ない

3つ目は、待機児童が少ないことです。
地方では特に若年層の人口が減っていることが多いです。そのため、待機児童の数も少なくなり、保育園に入れないから働けない、というケースは稀です。

 

保育施設がどれくらいあるのか、待機児童がどれくらいいるのかは、各自治体のホームページから調べることができます。移住先について調べる際に一緒に調べておきましょう。

メリット④地域社会のなかで成長できる

最後に、地域社会のなかで成長できることです。

 

地方では、住民同士の人間関係が密であることが多いです。特に子育て世代はその傾向が強く、普段の通学や学校行事、子ども会の集まりなどでは、ママ友パパ友とうまくやっていくことが求められます。また、それに加えて町内会や自治会の当番仕事や集まり、地域の行事やお祭り、普段のゴミ出しなどでも地域の人との交流があるでしょう。

 

子どもももちろん無関係ではいられません。登下校の際に挨拶をしたり、地域の集まりで話しかけられたりと、地域の人の目を都心部での生活よりも意識することが増えるでしょう。

 

とかく面倒臭いと考えられがちな地域社会の人間関係ですが、子どもが家族や学校の先生以外の大人と交流することで、人間として大きく成長できるという側面は見逃せません。

子育てのために移住する際のデメリット

ここまで、子育てのための移住のメリットをみてきましたが、デメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

デメリット①学校や習い事の選択肢が限られる

学校や習い事の選択肢が限られるのは、デメリットのひとつです。都市部だと、少し足を伸ばせば大抵の習い事は習うことができます。また、学校も、公立校にいくのもあり、中高一貫校を目指して受験勉強を頑張るのもあり、というように、選択肢は多様です。

 

しかし、地方にいくと、学校の選択肢が限られていたり、通える範囲に教室がない習い事もあります。「たくさん勉強を頑張って、同じような仲間と切磋琢磨したい」「どうしても〇〇を習いたい」という希望がある子どもにとっては、物足りない環境になるかもしれません。

デメリット②公共交通機関が少ない

続いてのデメリットは、公共の交通機関が少ないことです。
都市部に暮らしていると、電車もバスも発達していて、大抵のところには公共の交通機関を利用していくことができます。

 

地方では公共の交通機関が発達していないことが多く、電車やバスの本数も少なかったり、終電や終バスが非常に早い時間だったりします。これは、都市部と比べると利用者の数が少なく、本数を増やしても採算が取れないためです。

 

そのため、地方での生活での主たる移動手段は自家用車になります。自治体によっては、都市部から移住してくる人で、車の免許を持っていない人に自動車学校の費用を補助するところもあります。この話からも、いかに地方での暮らしに車が必須であるかが分かりますよね。特に子育て世代ではお子さんの送り迎えも多く、車は必須です。

 

公共の交通機関が発達していないことは、車は維持費がかかるという面、昨今はガソリン代が高騰しているという面でもデメリットといえそうです。

デメリット③医療機関が少ない

過疎化が進んでいる地域だと、病院もあまりないことがあります。更に、元々子どもが少ない地域の場合、小児科や耳鼻科のような、子育て中によく利用する医療機関が近くにないおそれもあります

 

移住を考えている先の地域に、どんな医療機関があるのか、休日診療や夜間診療の体制はどうなっているのか事前に調べてみましょう。各都道府県の医療情報ネットや、各自治体の広報誌などでも調べられますよ。

 

その上で、もし子どもが体調を崩したらどうやって受診させるか事前に考えておくと、いざ体調を崩したという時に慌てずにすみます。子どもが体調を崩すと、親の方も心配なあまり変に慌てたり、気が動転して正常な判断ができなくなったりするものです。

各地域の子育て支援を活用する

地域によって内容は異なりますが、大抵の自治体は子育て支援策を打ち出しています。意外に知られていない制度や、便利な制度もありますので、活用しましょう。

その①地域子育て支援拠点

地域子育て支援拠点とは、子育て中の親子同士が交流を持ち、不安や悩みを相談できる場の提供を目的としたサービスです。「つどいの広場」「子育て広場」などの名前で、児童館や公民館で開催されていることが多いです。

 

子どもの発達段階や成長段階に応じたおもちゃや絵本などが用意されており、支援員がつくことがほとんどです。支援員は、子育て経験者や保育士資格保持者などで、育児の悩みや相談にも応じてもらえます。

その②一時預かりサービス

幼稚園や保育園などで、一時的に子どもを預かってもらえるサービスです。児童館などで行っている場合もあります。また、認可外の保育園などが、独自でやっているケースもあります。

 

預けられる月齢も、2ヶ月からのところもあれば、1歳からというところもあり、まちまちです。ホームページ等で、預けられる月齢、料金、必要な持ち物、申し込み方法などが確認できます。

 

預ける理由は、通院や冠婚葬祭などの他に、リフレッシュ目的もOKとしているところがほとんどです。リフレッシュ目的で預ければ、気兼ねすることなく美容院に行ったり、マッサージに行ったりできます。理由によって預けられる回数が変わるところもありますので、そういった条件面も前もって確認しておくと、計画的に利用できます。

その③放課後児童クラブ

平日の放課後や土曜日に、子どもの面倒を見る人がいない家庭を対象に子どもを預かってもらえるサービスです。「学童保育」「留守家庭子ども会」などの名前でサービスを行っている地域もあります。

 

児童クラブは、学校の一角や、学校に隣接する場所などに位置しています。保護者が迎えに来るまでの時間を、宿題をしたり、他の子どもたちと遊んだりして過ごせます。

 

クラブの利用に当たっては、就労や就学、病気などの子どもの面倒を見られない事由が必要となり、地域によっては勤務時間等に制限がある場合もあります。

 

また、子どもの多い都市部だと、民間の業者も参入している地域もありますが、子どもがさほど多くない地域では、自治体が運営する公立のもののみの場合がほとんどです。

子育て支援住宅を活用

「子育て支援住宅」という言葉を初めて聞く人も多いのではないでしょうか。

 

「子育て支援住宅」とは、安心して生活ができ、地域の子育て世帯とも良好な交友関係が築けるような環境が整っている住宅を指します。家庭内や自宅周辺での事故や怪我を防ぐための対策が講じられていて、核家族であっても安心して家事ができ、周辺環境も整備された住宅です。

 

具体的な安全対策としては、次のようなものが挙げられます。

  • バリアフリーで段差がない
  • コンロにロックボタンがついていて、子どもが勝手に点火できないようになっている
  • 窓に転落防止の手すりがついている
  • 子どもが勝手にベランダに出ないよう高い位置に補助鍵がついている
  • (集合住宅で)プレイルームや集会所がある

地方自治体で独自に認定制度を設けているところもあります。

 

例えば、東京都には「東京こどもすくすく住宅認定制度」があります。子育てしやすい優良な住宅を東京都が認定する制度です。認定されると、広告などでアピールできたり、東京都のホームページに掲載されたりします。認定されていることが、育児のしやすさの判断基準のひとつになります。

 

また、埼玉県には「子育てマンション認定制度」が、大阪市には「大阪市子育て安心マンション認定制度」があります。東京都と同様基準を設け、子育てしやすいマンションを認定するというものです。

 

さらに、対象を子育て世帯に限定して貸し出している賃貸住宅もあります。埼玉県ときがわ町では「子育て支援住宅」として、子育てしやすい環境の整った戸建てを子育て中の人に賃貸で貸し出す制度があります。また、埼玉県住宅供給公社でも子育て世帯向けの物件を用意しています。東京都新宿区でも、設置から20年が経過した区民住宅を「子育て住宅」として、20歳未満の児童を扶養している人向けに貸し出しています。

制度を活用して楽しい移住生活を!

リモートワークの浸透に伴い、子育てのための地方移住も増えてきていること、子育てのための地方移住のメリット・デメリットをみてきました。また、さまざまな支援制度を活用することで、馴染みのない土地への移住でも、スムーズにスタートを切ることができます。

 

上郡町でも、移住・定住者の受け入れを積極的に行っています。自然豊かな町への移住をお考えの方はぜひご検討ください。

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